東京都庁の職員が学校事務に配属される?元職員が実態を解説!

学校

都庁志望・都庁内定者のみなさん、こんにちは。元都庁職員のイクロです。

この記事では、都庁のⅠ類(大卒以上)行政職員が「都立学校の事務室」に配属されるケースについて解説していきます。

都庁といえば西新宿の本庁舎のイメージが強いと思いますが、実際は様々な配属先が存在し、中でも異質なのが今回ご紹介する「学校事務」です。

実は、都庁のⅠ類職員が学校事務に配属されることはかなり多く、例えば私が入都した年は、行政系の採用数が1,000人強で、そのうちの200人以上が学校事務に配属されました。およそ5人に1と考えると、かなり多いと感じられるのではないでしょうか。

この記事をお読みいただいている都庁志望・都庁内定者のみなさまの中にも、採用されたあかつきには学校事務に配属される方もいらっしゃると思います。しっかり理解を深めていきましょう。

都庁に新規採用職員として採用された場合の配属について詳しく紹介した記事も併せて確認してみてください。

都立学校の経営企画室・事務室の概要

事務

そもそも学校事務がどのようなものかと言うと、都内に存在する各学校の経営企画室という係に配属され、学校の運営に必要な事務を行う担当です。

経営企画と名がつきますが、実態として経営戦略の立案などのダイナミックな業務に関与することはありません。2005年までは事務室という名称でしたが、2006年の「東京都公立学校の管理運営に関する規則」の改正により経営企画室という名前に変わりました。

経営企画室の事務の内容は、「東京都教育委員会が定める規則」において下記の通り定義されています。

(経営企画室の事務)
第四条 室の事務は、おおむね次のとおりとする。
一 学校経営計画、企画調整会議その他学校経営に関すること。
二 広報及び広聴に関すること。
三 学校運営連絡協議会、学校開放その他事業に伴う連絡調整に関すること。
四 学事に関すること。
五 就学奨励に関すること。
六 職員の人事及び給与並びに福利厚生に関すること。
七 公印の管理に関すること。
八 情報公開及び個人情報の保護に係る連絡調整に関すること。
九 公文書の収受、配布、発送、編集及び保存に関すること。
十 予算、決算、会計及び契約に関すること。
十一 物品の管理に関すること。
十二 使用料及び手数料その他歳入の調定に関すること。
十三 学校徴収金に関すること。
十四 給食に関すること。
十五 施設、設備その他の財産の維持管理に関すること。
十六 学校の環境整備に関すること。
十七 学校の警備に関すること。
十八 図書館の整備に関すること。
十九 生徒等の看護に関すること。
二十 前各号のほか、校長が必要と認めること。

東京都立学校の経営企画室に関する規程

都庁職員の学校事務への配属

そんな特徴を持つ学校事務ですが、前述の通り新規採用で赴任する職員はかなり多く、もっともメジャーな配属先の一つと言えるでしょう。

決して期待値が低い職員が配属されるという傾向は無く、純粋に、都を志望する動機として教育や文化に関することを挙げた人が充てられるというイメージです。

文化などは志望動機として多く、一方で埋まらなくてはいけない学校事務配属の枠も多いので、需要と供給が合っているとも言えます。

配属の仕組みとしては、まず局の単位で「教育庁(教育委員会事務局)」に配属され、その中で本庁・学校経営支援センター・都立学校の3つに配属が分かれます。割合としては0.2:0.8:9くらいでしょうか。この3番目が学校事務に該当します。

学校に配属されると他の職場の行政職員と中々関わりを持ちづらいですが、定期的に教育庁の研修があるため、そこで各配属先から一堂に会し、交流を深めることができます。

また、割合は少ないですが小学校・中学校に配属される行政職員もいます。それらには経営企画室という係は無く、事務室に配属されるかたちになります。

小・中学校は基本的に「区」立なので、事務のルールが「都」とは異なる部分が多く、学んだことが都の業務に活かしづらいというデメリットがあります。

また、都立高校の経営企画室が4~6名程度の組織であるのに対して、区立学校の事務室は1名のみからなるため、新卒で配属されているにも関わらず教えてくれる先輩や上司が周りにおらず、その意味で難易度が高い職場です。

学校事務の仕事内容

では、学校事務に配属された場合、どのような仕事をすることになるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。

経営企画室の行政職員は、主に下記の担当に分かれます。

学事

学校の在校生や卒業生、受験生に直接関わる事務の担当です。具体例としては、下記が挙げられます。

  • 書類(生徒証・卒業証明書など)の発行
  • 学校徴収金(各家庭から、学校生活に使うために集めたお金)の管理
  • 就学支援金(都税を所得が少ない家庭の教育費に充当する制度)の認定
  • 窓口対応
  • 受験対応

学校事務のベースになる内容なので、経営企画室に配属された新規採用職員は大抵こちらの担当になります。業務量も他の担当よりやや少なく、基本を学びつつかなり余裕を持って働くことができるでしょう。

施設

校舎をはじめとした、学校の敷地内にある施設・設備の管理をする担当です。不備が無いか状態をチェックしたり、問題が発覚した場合は業者に修繕を発注したりします。

かなり地味な内容に聞こえると思いますが、「業者対応」というかたちで第三者とのやりとりが発生するため、学校関係者の中でほぼ業務が完結する学事よりも難しい部分があります。

給与

教員・行政職員の両方について、給与や勤怠の管理をする担当です。毎月正しい給与が支払われるように処理を行ったり、職員の有休の取得具合を管理したりします。

経理

学校が持つ公費(都税)の支出を管理する担当です。職務を遂行するに当たり認識しておかなければならない規則が多く、学校事務の中ではもっとも難易度が高いとされています。大抵はベテラン職員が担当しますが、稀に新規採用職員がこれに任命され、ヒーヒー言いながらこなすような事例もあります。

事務統括

都立高校の経営企画室には東京都職員として「課長代理級」に相当する「経営企画室長」という役職者がおり、彼らが学校事務全体を統括します。

事務に関わること全般に対して責任を負い、学校運営が問題なく行われるよう管理する仕事です。ケースバイケースの判断が求められるような局面での実質的な意思決定者になることも珍しくありません。

ただし、役職としては上述の通り課長代理なので、管理職ではありません。都庁の役職の構造については下記の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。

都庁職員の役職と昇進の仕組みを解説!【主事→主任→課長代理→管理職(課長→部長→局長→副知事)】 都庁職員の役職と昇進の仕組みを解説!【主事→主任→課長代理→管理職(課長→部長→局長→副知事)】

学校事務に配属された都庁職員の異動

学校事務に配属された行政職員の多くは、早く別の部署に異動したいと考えています。学校という行政機関ではない場所で仕事をすることは、都庁の職員としての自己認識とかなりギャップがあるためです。

しかし、一度学校に配属されると中々外に異動できず地団駄を踏むこともあります。以下で、学校から他の配属先への異動について解説していきます。

まず、学校に配属された場合は基本的に3年はそこで仕事をすることになります。これはほぼ確定事項です。問題は4年目の新しい配属先が別の学校になるのか、それとも行政系の職場に移ることになるのかです。

後者については、前提として、局を跨いだ異動は基本的に役職が変わるときに限られる(庁内の公募に合格するなどの例外はあります)ため、教育庁の外に出ることはありません。

そうなると、教育庁の本庁部課か学校経営支援センターが候補になりますが、新規採用後3年を経た学校事務担当が次の配属で本庁に移ることはほぼありません。なので、可能性があるすれば「学校経営支援センター」への異動です。これは、都立学校を管轄するための、都庁の出先期間です

学校経営支援センターは、都庁の「部」に相当し、行政機関という雰囲気がきちんとあるため、ここに異動できれば、「都庁に就職したのに学校事務員という行政らしくない仕事をしている」というギャップからは抜け出せます。

しかし、ここへの配属も狭き門です。学校はかなりたくさんあるのに対して、学校経営支援センターは西部・中部・東部の3箇所しかなく、枠がそもそも少ないからです。

4年目の異動でここに移るためには、最初に配属された学校で極めて良好な評価を得ることが必要条件です。ただし、評価が高くかつセンターへの配属を強く希望する職員はたくさんいるため、それだけでは十分ではありません。

では何が必要かと言うと、経営企画室長の積極的な後押しです。学校事務の責任者である室長が、センターへの異動を実現するために積極的に動いてくれれば、可能性が上がります。

したがって、最短で学校事務から異動できるか否かは、運の要素がかなり大きいです。新規採用で学校事務に配属された大抵の職員は、次の配属もまた学校で、5年目の主任試験に合格することで、教育庁から別の局へと異動し、学校事務から出ることになります。