都庁職員の役職と昇進の仕組みを解説!【主事→主任→課長代理→管理職(課長→部長→局長→副知事)】

都庁職員の役職と昇進の仕組みを解説!【主事→主任→課長代理→管理職(課長→部長→局長→副知事)】

主任

入都から3年ないし5年目で、「主任試験」を受ける資格が得られます。この試験に合格すると、晴れて主任に昇任します。

※主任試験の受験資格は、1類B採用だと5年目、1類A採用だと3年目に与えられます。

主任は現場のチームリーダーのようなポジションで、担当職務を一通り経験しており、その内容を理解している人間という位置付けです。年齢は20代後半〜30歳前後で、一般企業でいうと中堅・若手の主力といったところでしょうか。

実は、都庁では「昇進したくない職員」がかなり多く、管理職には最初からなるつもりが無い人が多数派かもしれないくらいなのですが、この「主任」までは基本的に全ての人が昇進します。

さすがに50代で新卒と同じ「主事」の肩書きのままの職員はいないのですが、主任どまりの人はまれにおり、私が配属された部署でも主任として定年退職した方がいました。

課長代理

かつては係長という名前だった役職です。従来、都庁では局 – 部 – 課 – 係という組織図だったため、係の長が文字通り係長だったのですが、今は係から「担当」という名前に変わっており、この単位のリーダーが課長代理です。

課長代理という名前ですが、課長とは明確に立場の違いがあります。具体的には、課長からが都庁の「管理職」になりますが、課長代理は管理職ではありません

なので、課長代理が決裁権を持つ稟議は基本的にありません。本当に現場レベル(例えば部下の有給取得など)について許可を下せる権利があるのみです。

主任から課長代理への昇進は試験ではなく人事考査が根拠になります。したがって、主任試験ほど客観的な昇進基準があるわけではなく、普段の仕事ぶりが上司からどのように評価されているか、そして本人に昇進する意志があるかどうかで決まります。

課長(都庁の管理職はここから)

ここからが管理職です。実は都立学校の校長などもここに該当します。

都庁では、課長以上か否かでまったく扱いが変わります。なぜなら、管理職になることで権限や責任の大きさがかなり変わるからです。

課長代理までは、基本的に仕事の責任を自分でとるようなことはありません。仮に何か失敗をしてしまったとしても、最終的にその責任を被るのは管理職の上司です。

例えば、都民に対して情報を告知する冊子を大量に発行するとします。万が一その中に間違いがあったら、誤った情報を都民に伝えてしまうことになりますし、配布前に気づいたとしても大量の印刷物が無駄になったり、余計な修正コストが大幅にかかることになってしまいます。

そういった仕事を直接担当するのは管理職ではなく現場の職員です。ただし、発行までの過程で管理職は上がってきた稟議に決裁をします。それは、何かあったら決裁を下した管理職の責任になるということです。

なので、上の例では、冊子を担当した課の課長が謝罪をすることになります。

権限もやりがいも大きな一方、プレッシャーやストレスも強いので、実際のところ管理職を目指す職員はそれほど多くありません。私の肌感覚ですが、同期のうち半数以上は入都した時点で「将来は管理職になりたい」という意向を持っていなかったと思います。(職員全体に占める管理職の割合は、平成31年のデータだと7.2%)

逆に、実際に管理職選考を通り役職に就いている方々はそういった負担を十分に理解した上でそのポジションについている人達なので、責任感や精神的な強さ、また職員としての優秀さはかなり高いです。

なお、管理職になると残業代がつかなくなります。

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