元都庁職員のイクロです。
この記事では、社会人の方が東京都庁に転職する方法やポイントについて解説します。
民間企業からも他の公務員からでも、都庁に転職することはできます。主に2つの採用枠がありますので、どちらが自分に合っているか確認していきましょう。
社会人が都庁に中途採用で転職することは可能
公務員というと新卒から定年まで勤め上げるイメージがあり、そもそも中途採用で転職することが制度的に可能なのか疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと、社会人が都庁に転職することはできます。
具体的な選択肢としては、新卒と同じ1類の枠で受験するパターンと、キャリア採用枠で受験するパターンの2つがあります。
1類で採用されると、厳密には中途採用ではなく新規採用になります。しかし、その場合も社会人経験があることは配属や等級に反映されるため、この記事ではキャリア採用と並列で説明していきます。
なお、社会人経験がある方が1類で採用された場合の配属については「都庁で希望の配属先にいく方法と採用面談のコツ」という記事の中で解説しています。
1類枠で採用されるパターン
社会人であるものの、新卒と同じ1類で採用されるパターンです。社会人の方が都庁に転職する場合はこちらがメインです。
実際私の新規採用同期にも、社会人経験からの1類採用組はたくさんいました。例を挙げれば、下記のような経歴の方々です。
- 首都圏県庁
- 省庁
- 地方銀行
- メーカー
- 営業会社
- 物流企業
- 出版社
県庁のような近しいところから、バリバリの民間企業までさまざまです。「今の職場は公務員と関係が無さすぎて、転職できるか不安」とお感じになる方もいらっしゃるかもしれませんが、この通り色々な経歴の人が実際に入都していますので、心配はいりません。
むしろ、都庁とまったく違う職場での就業経験があるということは、一般的な都庁職員には無い強みを持つことにもつながりますので、自信を持って臨むことをおすすめします。
もちろん、前提として、なぜ都庁に転職したいのかはしっかりと検討して面接の場でアピールできる必要はあります。都庁の面接対策を解説した記事も参考にしてみてください。
キャリア採用枠で採用されるパターン
キャリア採用は募集人数がかなり少ないです。また、採用後の担当分野がかなり具体的に決まっており、その分野に対する専門性がキャリアの中で培われていることが採用の条件になります。
例えば、令和元年度の試験での採用予定は下記の通りです。
事務
- 資金運用
採用予定者数 : 2人- 財務
採用予定者数 : 7人- システム
採用予定者数 : 9人- 不動産
採用予定者数 : 4人- 国際
採用予定者数 : 1人- 医療事務
採用予定者数 : 2人技術
- 土木設計施工
採用予定者数 : 24人- 測量
採用予定者数 : 5人- 建築施工
採用予定者数 : 7人- 機械設備
採用予定者数 : 7人- 電気設備
採用予定者数 : 8人専門的な職種
- 林業
採用予定者数 : 1人- 公園整備
採用予定者数 : 3人- 児童心理
採用予定者数 : 11人- 病院心理
採用予定者数 : 1人- 児童福祉
採用予定者数 : 23人- 看護
採用予定者数 : 1人- 埋蔵文化財
採用予定者数 : 1人
かなり狭き門という印象があるのではないでしょうか。実際、条件に当てはまる人が少ないため新卒と同じ1類で受験する人が多いですが、逆に言えば受験資格があるだけでもアドバンテージを得られますので、その年の採用予定にぴたりと合致するキャリアやスキルをお持ちの方にはおすすめです。
社会人が都庁に転職する際の注意点
都庁に転職する際に気をつけておきたいポイントを解説します。
民間企業からの転職
公務員の仕事は、民間企業とはまったく違います。
企業活動の基本は利益の追求ですが、都庁では都民の方々がより良い暮らしを送れる東京都を創ることが目的で、利益はまったく求めません。
例えば、「当初計画されていた予算を、効率化によって余らせることができた」といったら、企業ならもちろん高く評価されますが、行政ではむしろ問題視されてしまいます。
こういった感覚にはじめは戸惑うと思います。せっかく転職しても、ミスマッチになってしまったら残念なことです。公務員に求められる行動基準や価値観に馴染めるのかどうかは、事前に検討しておくのがよいでしょう。
省庁からの転職
省庁では、国家全体に渡る大規模な政策に取り組まれてきた方が多いでしょう。
それに対して都庁は、出先機関に配属されたら事務室の窓口業務で住民と直接関わるようなケースも珍しくありません。
都庁というと省庁に劣らない大組織というイメージもありますし、実際職場の規模としてはそうとう大きいのですが、配属先によっては「現場仕事」をする可能性が高いことは覚悟しておく必要があります。この点が、省庁からの転職組が注意しておくべきポイントです。
もっとも、省庁で経験を積んだ上で都庁に転職した方が出先機関の窓口業務に当てられることはまれだと思いますが。
区市町村からの転職
省庁の真逆のパターンです。
区市町村では、住民の方と直接関わるような「現場感」のある仕事が多いと思います。それに対して、都庁では、もちろん出先機関に配属されれば現場仕事はたくさんあるのですが、本庁だと直接住民の方と関わる機会はかなり減ります。
「地方公務員として、地域と密に関わりながら仕事をしている」という感覚は薄れてしまう可能性があることは認識しておきましょう。
道府県庁からの転職
東京都は地域ごとに特性のばらつきが大きい県です。港区・千代田区・中央区・渋谷区などの都心部から、奥多摩などの山岳部、そして小笠原諸島や伊豆諸島などの島しょ部など、両極端な地域がすべて含まれています。日本でもっともバラエティに富んだ県だといえるでしょう。
他の県庁からの転職の場合、東京=都会という先入観を持って入ると、場合にとってはかなりギャップを感じる可能性があります。事前に東京都がどういう地域なのかを正しく理解しておくことが重要です。
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