都庁と国家公務員の残業の違い
平成27年のデータによると、東京都の職員の平均残業時間は13.5時間、そのうち本庁勤務の職員は22.1時間となっています。(出典:東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プラン)
それに対して、国家公務員の残業時間は令和元年のデータによると下記の通りです。
財務省:72.59時間
国家公務員の残業時間ランキング!【24官公庁・完全版】
文部科学省:72.43時間
経済産業省:70.16時間
裁判所:9.15時間
国税庁:17.86時間
特許庁:20.72時間
組織によってかなり偏りがありますが、財務省や経産省のような国会対応がある省だと月に70時間を超えており、本庁勤務の都庁職員の3倍以上の残業をしていることが伺えます。
もちろん一般職で出先勤務をしている職員は国家公務員でも上記の水準よりかなり残業が少なくなります。しかし都庁も「全体が13.5時間で本庁が22.1時間」であることを考えると出先職員の残業時間は相当少ないことがわかります。
実際に筆者も都職員として出先組織で働いていましたが、私の場合は残業はほぼゼロでしたし、同じ担当の職員はおおむね定時退庁でした。
つまり、全体的な傾向で言うなら国家公務員は都庁職員よりも忙しくなる可能性が高いです。
都庁と国家公務員の試験難易度の違い
都庁の国家公務員の採用試験における難易度はおおむね下記の通りです。
国家公務員総合職 > 都庁 ≧ 国家公務員一般職
国家公務員の中でも総合職の場合は都庁よりもだいぶ難しいです。これは筆記試験の内容もありますが、どちらかというと受験者層の違いによるところが大きいです。
国家総合職はいわゆる官僚なので伝統的に東大卒が多いです。2019年度のデータは下記の通りとなっています。
東京大学:433名
PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
京都大学:183名
早稲田大学:133名
慶應義塾大学:98名
東北大学:85名
かなり高学歴揃いであることが伺えます。
それに対して都庁職員の学歴は早慶からMARCHまでが多く、東大をはじめとした超難関国立の出身者は少ないです。この点は下記の記事で詳しく解説しています。
そして国家一般職はPRESIDENT Online(プレジデントオンライン)を見ると金沢大学や山口大学、中央大学、立命館大学、広島大学が多いことが読み取れます。
つまり国家総合では東大〜早慶、都庁では早慶〜MARCH、国家一般ではMARCH前後がそれぞれボリュームゾーンであり、採用試験が相対評価であることを踏まえると、この層の違いがほとんどそのまま難易度の違いと一致すると考えられるでしょう。
都庁と国家公務員の併願は大変
「都庁も国家公務員もどっちも魅力的だから併願したい」と考えている方もいらっしゃると思います。もちろんアリですし、元都職員の筆者の周りにもそのような方はいました。
ですがその場合、試験勉強がだいぶ大変になることは覚悟しておく必要があるでしょう。
なぜなら、都庁と国家公務員の試験では内容が大きく異なり、共通の対策だけでは対処しきれないからです。
国家は形式は一般的な公務員試験と変わらないのですが、都庁ではやや特殊な専門科目試験が課されます。国家公務員の試験準備をしながら都庁の専門科目の試験対策をするとなると、ある程度時間に余裕が無いと難しいところがあるでしょう。具体的には丸一年くらいはかかるケースが多いのではないでしょうか。
ご自身の志向性と残された準備期間の両方を踏まえて、併願するか否かを判断されることをおすすめします。
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