都庁との併願先はどうする?おすすめを6つ紹介

都庁と併願しやすい 就職先は?

元都職員のイクロです。

都庁志望者の中には、「都庁の試験は独特で、他の公務員試験と併願しづらい」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、都庁と併願しやすい就職先(公務員・団体職員)を、あまり知られていないところも含めて解説します。

都庁と併願しやすい公務員試験

都庁の試験と他の公務員試験との大きな違いは専門科目の形式にあります。具体的には下記の2点です。

  • 多くの公務員試験では10科目程度が出題されるが、都庁では3科目のみを選択して解答
  • 多くの公務員試験では択一式だが、都庁では記述式

これだけ大きな違いがあるために都庁の対策はそのまま他に活かすことが難しいです。これが多くの受験生の悩みのタネだと思います。

ですが逆に言えば、専門科目が都庁と似た形式であるか、そもそも出題されない試験であれば、問題無く都庁と併願できます。以下で、それに該当する公務員試験を4つ紹介します。

横浜市

都庁との併願の王道の一つでしょう。横浜市では一般的な択一形式の専門科目試験が出題されず、代わりに都庁とある程度似ている記述式の専門時事論文が課されます。

一次試験一般教養
二次試験専門時事論文(法律、政治、経済、経営、社会、教育の中から1つ選んで解答)、面談
三次試験面接

横浜市の専門時事論文は専門科目・時事・一般常識をベースに解答するもので、都庁の対策をしていれば少なくとも1題はまともに書ける科目が出る可能性が高いです。

また、職場としての特徴を見ても東京都と横浜市は似ています。具体的には下記の通りです。

  • 日本を代表する自治体
  • 首都圏
  • 都会〜田園まで幅広い地域を内包

もちろん広域自治体なのか基礎自治体なのかという違いはありますが、都庁を受ける人であればマッチする可能性は比較的高く、その意味でも併願しやすい試験と言えるでしょう。

神奈川県秋季チャレンジ

神奈川県には通常の採用区分のほかに「秋季チャレンジ」という枠があり、ここでは専門科目の試験が課されません。

一次試験教養択一、自己PRシート
二次試験論文(1,200 字程度)、グループワーク、個別面接2回(プレゼンテーションを含む)

出典:令和2年度試験実施日程・各試験概要等

神奈川県総務局組織人材部人事課の課長(当時)の河鍋章氏は秋季チャレンジについて以下のように語っています。

民間企業志望だった人、海外留学から帰国した人、資格試験に挑戦していた人のほか、試験日に風邪をひいたとか、いろんな理由で就活、公務員受験を続けている人もいます。その人たちに受験してもらい、その結果、私たちが採用したかった人を採れればお互いにウィンウィンです。

2020シーズン【第12回 神奈川県庁】(前編) 一番の仕事は「県民のため」 責任感あるアグレッシブな人求む!

つまり、民間企業との併願に限らず、色々な背景の人に門戸が開かれている試験ということです。したがって都庁受験生にとっても選択肢の一つとして検討できるものと言えるでしょう。

その名の通り試験の時期が秋(つまり都庁の試験結果が出た後)になってしまうのが難点ですが、万が一都庁がダメだったときの併願先として頭に入れておくとよいのではないでしょうか。

千葉県

千葉県庁では専門科目が課されない代わりに自己アピールシートを求められる「一般行政B」という採用区分があります。上述の神奈川県秋季チャレンジと似た形式です。

一次試験教養択一、論文試験、自己アピールシート
二次試験個別面接、集団討論、適性検査

出典:千葉県職員採用上級試験 受験案内

専門択一が出ないため都庁と併願しやすい試験と言えるでしょう。また「首都圏の広域自治体」という根本の部分で東京都と類似性があります。

都庁と併願しやすい団体職員採用試験

団体職員は学校法人や協会などの非営利組織で働く職員のことです。

団体職員は公務員ではないものの、組織の構造や働いている人の傾向が公務員と非常に近しいです。実際、中にはかつて公務員が勤務していた職場もあります(国立大学法人など)。

都庁で働きたいと考えている方なら団体職員もマッチする可能性は十分あります。以下で、特に都庁と親和性が高いと考えられる東京の非営利組織を3つご紹介します。

国立大学法人

国立大学の事務局などに配属され、大学の運営に関する仕事をおこなう職種です。採用フローは下記の通りです。

  1. 共通の一次試験(教養択一)
  2. 大学ごとに実施する二次試験(主に面接など人物評価)

二次試験で何が課されるかは大学により異なりますが、基本的に採用フローの中で択一型の専門科目試験は出題されない場合が大半でしょう。つまり形式面で都庁とは併願しやすい試験です。

また、都庁に入都した場合も都立学校に配属されるケースは多く、仕事内容の面でも一定の類似性があります。(なお、都庁職員が学校事務に配属されることについては下記の記事で解説しています)

また、東京大学や東京工業大学など、上記の統一試験に加えて完全に大学独自で採用をおこなう独自枠を設けている大学もあります。この区分はより人物評価重視の傾向があり、筆記試験の負担は軽いです。

東京商工会議所

東京商工会議所は主に東京の中小企業を支援する組織で、社会課題の解決のために非営利的に事業をおこなう点で公務員と似ています。

採用試験は民間企業と同様に人物評価がメインで、2020年3月現在に開示されている情報によると筆記は適性検査や小論文が出題されます。(出典:採用サイト |東京商工会議所

都庁受験生の中で、特に産業・経済の領域に関心がある方には魅力的な組織だと思います。採用数が少なく狭き門ではありますが、都庁との併願先として選択肢に挙げられるところでしょう。

東京都社会福祉協議会

東京都社会福祉協議会は、東京都内の福祉関係事業を支える非営利の団体です。東京商工会議所と同じく、公務員と類似した組織と言えます。

採用フローはあまり開示されていませんが、概ね人物評価重視の中で筆記試験が混ざる形式であることは予想できます。

都庁受験生の中で福祉分野に関心がある方には選択肢になるところでしょう。

都庁と併願しやすい公務員・団体職員:まとめ

都庁と併願しやすい組織を官民合わせて解説してきました。最後に振り返っておきましょう。

  • 横浜市
  • 神奈川県(秋季チャンレンジ)
  • 千葉県
  • 国立大学法人
  • 東京商工会議所
  • 東京都社会福祉協議会

この記事が都庁との併願先を考える上で参考になれば幸いです。